建設地は、緑溢れる豊かな自然が残る福岡市浄水通りに位置し、この周辺環境との親和性や、新しいビジネスを主張するランドマークにもなるように、建築デザインでマルホンのアイデンティティーを表現することを目指した。20坪程の敷地に、ワークスペース、400点余りの商品ストック、ライブデモスペースが求められ、これらを効率良く集約させるべく、構造・設備・インテリア・家具が各々の機能を担いながらコンパクトな空間を構築した。商品・素材・構造寸法を主軸に適切なモデュールを導き出し、煩雑になりがちな空間に統一感を与え、多種多様な表情や質感の商品と調和させた。敷地の角を和らげるオーバル型プランは、半地下から2層吹抜けの縦方向に展開し、「木」の魅力を最大限に体感出来るように、木材に包み込まれる様な空間を目指した。外壁の天竜杉は、陰影を強調させつつ建物外形をシームレスに繋げられる形状とし、素材本来の魅力を引出す草木染めを施して、エイジングと共に街並みに調和することを意図した。構造体がそのまま仕上げになる為、綿密な施工計画と高い精度管理が求められ、職人の技術と経験がこれらを支える重要な要件になった。あたかも大樹を刳り貫いたような力強さと緻密で濃密な空間が、コミュニティーと共に育っていくことを願っている。
本建物はFSC®プロジェクト全体認証(FSC-P001795(2019年))を取得しました。
所在地 | 福岡県福岡市中央区浄水通 |
ディレクション | フィールドフォー・デザインオフィス |
構造設計 | KAP |
設備設計 | ヤマダマシナリーオフィス |
照明設計 | LIGHTDESIGN INC. |
施工 | 黒木建設 + シーエス |
敷地面積 | 71.61㎡ |
建築面積 | 43.71㎡ |
延床面積 | 83.34㎡ |
竣工 | 2019年 |
photo by Hiroshi Mizusaki, Akito Goto